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【映画感想】スパイダーマンを観る前に『コップ・カー』で予習を

2017年8月11日は記念すべき日。
マーベルに帰ってきたスパイダーマンが日本にやってくる日(わかりづらいな)。

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2002年~2007年のサム・ライミ版『スパイダーマン』3部作、そして2012年,2014年のマーク・ウェブ版『アメイジングスパイダーマン』2部作、どれを見ても面白いという、奇跡的なアメコミ映画シリーズだけど。
トビー・マグワイヤの童貞臭さマッハなスパイディも、アンドリュー・ガーフィールドのウザ可愛いスパイディも好きだけど。

でもでも、今回のスパイダーマンが一番楽しみ!
満を持してスパイダーマンMCU世界に参入するし、
『シビル・ウォー』で見せてくれたアクションとキャラクターが最高にクールだったし、
予告編見る限りトニー・スタークとの擬似父子、師匠と弟子な感じがあってこれまでのスパイダーマンとの差別化を感じるし、
ようやく来たな!今年の夏がようやくやって来たな!!

※『スパイダーマン:ホームカミング』の感想はこちら
tokidokioh.hatenablog.com


ただ、1つ個人的な懸念があって。
サム・ライミは『死霊のはらわた』を、マーク・ウェブは『(500)日のサマー』をそれぞれ事前に知っていたので、ある程度安心して「こんな映画かな」って観に行けたんだけど。
今回の監督、ジョン・ワッツってだれ?って感じ(不勉強で申し訳ない気持ち)。

とはいえマーベルのことだから、知名度がなくても腕のない監督を起用することなんてありえないというのは分かっている。
なので「今度のスパイディはどんな感じだろう?」という確認の意味で監督の過去作を見ておこうと思った。
コップ・カー。
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幸い、ネトフリに転がってたので有料会員は無料で観れます。
『コップ・カー』、作品として普通に面白かったし、『ホームカミング』の予習ということで感想を備忘録的に記しておく。

基本情報

監督:ジョン・ワッツ
脚本:ジョン・ワッツ、クリストファー・フォード
出演:ケヴィン・ベーコン、ジェームズ・フリードソン=ジャクソン、ヘイズ・ウェルフォード、カムリン・マンハイム、シェー・ウィガム

監督のジョン・ワッツが製作、脚本も担当。また、主演のケヴィン・ベーコンは製作総指揮も務めている。

これがジョン・ワッツさんの長編映画2本目の監督作。
てことは『ホームカミング』が長編映画3作目ってことで、どんだけ大出世してんだよ…って感じ。まだ若いし(36歳)。
1作目の『clown』は観れてなくてIMDbのあらすじを読んだだけだけど、大雑把に言って「呪われたピエロコス」でホラーテイストっぽい。
『コップ・カー』もジャンルとしてはスリラー映画でもあると思うし、そういう路線を得意としてるのかな?
てことは過去のスパイダーマンで言うとサム・ライミに近いのかな?

脚本で監督と並んでるクリストファー・フォードは、『ホームカミング』でまたタッグを組んでるみたい。
ケヴィン・ベーコンも出てこねえかな…。

役者陣で一番異彩を放ってたのは「善良な市民A」役のカムリン・マンハイム。こういうオバサンいるいる~笑って感じでいい味出してた。
この人も『ホームカミング』出ないかな。どこにいてもおかしくない最高のモブおばさんだと思う。

あらすじ

ケビン・ベーコンが主演・製作総指揮を務め、イタズラで警察車両を盗んだ少年が、恐ろしい悪徳保安官から執拗な追撃を受ける様を描いた。家出中の少年2人が荒野で1台のパトカーを偶然見つける。ゲームで覚えた運転知識で本物のパトカーを無邪気に乗り回す2人だったが、そこへ車を盗まれたことに気付いた持ち主の保安官から無線が入る。やがて少年たちは、車のトランクにあってはならないものがあることを知る。

COP CAR コップ・カー : 作品情報 - 映画.com

感想

2人の少年が成長するジュブナイルものでもあり、
次にどうなるかハラハラさせるサスペンスでもあり、
個々のキャラクターが無駄に(褒めてます)深く描写されるキャラ萌え映画でもあり。
いろんな切り口のある不思議な映画でした。


家出中の2人の少年(10歳くらい)が茂みに打ち捨てられているパトカーを見つけ、「マリオカートで覚えた」運転で盗んで走り出すも…?
そのトランクの中には…?なぜパトカーがそんなところにあったかというと…?

序盤、少年たちが何も知らないでいられた頃は非常にのんびりとしたムードで展開していくこの映画。
少年たちとカットバックでパトカーを盗まれた保安官(ケヴィン・ベーコン)の追跡を映し出す中盤になっても、観客だけが事実を知っている間はまだ微笑ましい雰囲気が続きます。
が、少年たちと保安官の目線が一致する終盤、まさかの展開のつるべ打ちで、登場人物も観客も誰一人予想してなかった事態に転がりこむチェンジオブペースにあぜん。
90分程度の短い映画ですが、時間の流れがいびつで、最初の60分は倍くらいに感じるのにラストの30分は一瞬で過ぎていく感じ。
この急転直下ぶりはなかなかほかの映画で味わうことのないジェットコースターでかなり良かったです。
ラスト、車を走らせる少年の「どうしてこうなった…」という顔には心の底から同意します。


また、登場人物が死体や声の出演含めて10人程度という小規模な世界の中で、登場人物の背景を丁寧に描写する何気ない演出が光る映画でもありました。
少年たちが家出している理由が明確に示されないけども台詞や家族構成でなんとなく想像がつくようになっていたり、
保安官がパトカーを放置したに至る「事件」も説明されないけども、彼の挙動(いろんな白い粉が出てくる)でかなりヤバイやつだとわかったり。

なかでも白眉なのが前述した「善良な市民A」として登場するオバサン。
彼女が車の中で流している音楽のジャンルとその時の顔、また大人の男と子供への態度の差など、相当癖のある人物であることが本筋とは関係なく描かれていて、監督の何か人物描写、ディテールへの病的なこだわりを感じるキャラです。


すっげー面白い!となるタイプの映画ではないものの、意外なラストの展開と併せて、鑑賞後に「あ、いい時間だった」という余韻を残す映画です。
最近シネコンでかかっている「大作」ばかり観ていたので、久しぶりにこういう良質な「小品」の映画を観たのは良かったですね。

『ホームカミング』に向けて

1作見ただけでその監督の作家性なんてわかるはずもないけれど、1つ言えるのは「人物描写の奥行きを書くことに長けている」監督だということ。

最近のアメコミ、ヒーロー映画で何が一番大事にされてるかって、どれだけキャラ萌えできる主人公、サイドキックに仕上がってるか?というところだと思う。
gotg2なんてもうそれしかないような映画だったわけだし(暴論)。

そう考えると、『コップ・カー』で脇役のオバサンをも無駄に魅力的なキャラクターに仕上げたジョン・ワッツ監督のキャラクター構築力はこの手の映画を撮るのにうってつけ

あと、言うまでもなく「少年の成長を描く」的要素はスパイダーマンにも通じるものがあるよね。
少年たちが手にした彼らにとっては「大いなる力」によって「大いなる責任」が生じ、ラストのあの目に繋がっていく、無線に出るようになるというところは、スパイダーマンで繰り返し語られるところとイコールだし。
今作でも過去のスパイダーマンの精神はしっかり受け継がれることが『コップ・カー』で保障されてるよね。

この監督が描き出すスパイダーマンがどんなキャラクターになるのか、そしてオバサンに匹敵する最高の一般市民が出てくるのか、そういう部分を楽しみに金曜日を迎えよう!