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【映画感想】ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 分かっちゃいたけどつまらない




通常2Dで観てきました、『ジョジョ』。

都内某所のシネコンで休日昼間、しかも「話題作ジョジョせんぱ~い」の初週末。もちろん混雑してるだろうと思ったけど…あれ~?って感じの客入り。前半分はガラガラでした。
映画ファンはもっと地雷を踏みぬく覚悟が必要ですね。

シネコン邦画ではよくあることだけど、例のごとく予告編の時間長すぎ…。新感染のDHCみたいな字幕は親の顔より見た風景。
『打ち上げ花火、下から見るか 横から見るか』(略称どうなるんだろ)のロング予告は初めて見たのでそこは収穫かな。
君の名は。』の「2匹目」だと思ってたけどこれ観て印象変わりました。

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オタク寄りだった1匹目と違って、より若い女性向きの恋愛ものに仕上げてきている印象。昨今の若手俳優マイムマイム的な恋愛ものが、ついにアニメに踏み入ってきたという感じ。菅田将暉広瀬すずだし。
同じプロデューサーだけど敢えてテイストを変えてきたということはこっちの方が売れる!と判断したのかしら。



で、本編ですが、感想を簡潔にまとめるなら、「原作へのリスペクトは感じられるけど、それが足を引っ張っている」という感じ。

ほぼコスプレな見た目の再現度(特に髪型)と、割と頑張ってるCGによるスタンド表現、そして台詞や小物から感じられる原作再現の意思。
そういう細かい部分ではグッとくるものもあったし、序盤15分くらいはワクワクしたけれど、どんどん粗が見えてくるのがつらかった。
それは原作を踏襲しているが故のつまらなさというか、漫画を映画にそのまま落とし込んだらそりゃこうなっちゃうよね…という感じ。

最後の方では、あまりに映画がつまらなく仕上がってるが故に原作の詰めの甘さみたいな部分が再発見されてしまって。
あれだけ独特の地位を築いている原作を、こんな形でクリシェにしてしまったのは罪深いと思う。
(ちなみに私は原作を第7部まで読んでいて、熱狂的に好きという感じではないです。5部がノワールぽくて一番好き)

以下、感じたことを個々に書いていきます。

基本情報

監督:三池崇史
脚本:江良至
出演:山崎賢人神木隆之介小松菜奈岡田将生新田真剣佑伊勢谷友介
原作:荒木飛呂彦

悪かったところ

主要2人の演技が…

観ていて一番つらかったのが、主役の山崎賢人狂言回し的役割の神木隆之介の演技が余りにもあんまりだったこと。

まず東方仗助役の山崎賢人ですが、さすがに役に対して人選がおかしすぎるんじゃないでしょうか(今さら)。
佇まいに説得力がないというか、胸板が薄すぎるというか、背が高く筋肉質なジョジョ世界の主人公を演じるには役不足(誤用)でした。
スクリーンで観ると改めて体つきのみすぼらしさが目立ってしまいますよね。

ジョジョの奇妙な冒険』という作品は非常に危ういバランスの作品だと個人的には感じていて、少しキャラ造形の綾があると所謂「俺TUEEEE」ものに堕しかねない作品だと思います。
そこを絶妙にチューニングしているのが原作で、それは例えばあの独特の絵のタッチの雰囲気だったり、漫画的な表現の中での強さ演出にあるのでしょう。
そのバランスは何十巻ものスパンで培われたもので、2時間弱の映画内で「強さの雰囲気」を演出するにはそれなりの工夫が必要になってくるのですが。
それを怠り、原作のエピソードをなぞって映像化しただけなのが本作であり、山崎賢人の一見強くなさそう感も相まって、観客の共感や畏怖を伴わない「俺TUEEEE」な主人公になってしまっています。
山崎賢人のセリフ回しがあまり上手くないことは目を瞑るとしても、このキャスティングは明らかに映画そのものの質を下げちゃってます。


かっこいいけどな・・・

そして、神木隆之介のダメなオーバーアクトは個人的に意外で残念でした。たぶん神木くんの所為じゃないですが。
確かに原作の広瀬康一くんは、普段引っ込み思案でコミュ障な小動物的キャラクターではあります。しかし、その原作のキャラクター、台詞をそのまま実写にトレースしてしまうと、どうしても変人に見えてしまうでしょう…。
漫画的なデフォルメを現実の人間がやっていたらそれはぶりっ子であり、一番嫌われやすいタイプのキャラになってしまいますです。
他の演者は言うてもキャラクターを自分のものに落とし込んで演技している印象ですが、神木くんは愚直に原作を再現しようとしてしまっていて、それが落とし穴になっているなと。

あと、これは脚本の問題ですが、神木くんの狂言回しとしてのセリフが悉く説明的で不要で、映画全体のペースを乱してしまっています。
仕草と表情だけで十分伝わる箇所でも「え?速すぎて見えなかった><なになに?」みたいな可愛い挙動と言動をするのでクソだなと思って観てました。


これの神木くんとか大好きなんですけどね・・・

映画自体もほめられた出来ではないですが、一番スクリーンに映る2人の演技がその感想に拍車をかけてしまった…。
そういう印象です。

話の展開があまり上手くない

この映画、大きく分けて2つのエピソードを盛り込んでいますが、その配分というか展開の仕方が悪くて2つ目のエピソードが蛇足っぽくなっちゃってます。
1つ目のアンジェロの事件で物語的な起承転結が一度閉じてしまうので、そのあと挿入される虹村兄弟編が非常にいびつ。
今から思い返すとアンジェロの事件が閉じるまでは比較的楽しく見ることが出来ていたし、あの葬式で「俺たちの冒険はここからだ」ENDを迎えていれば、まだ良作と思えたかもしれません。
アクション的な見せ場も対アンジェロ戦をもっと膨らませれば、もともとの発想の奇抜さ含めて新鮮で見ごたえのあるものが作れたと思いますし、なぜ虹村兄弟の話を終盤に持ってきたのか理解に苦しみます。

確かに原作ではアンジェロから虹村という話の流れですし、忠実に原作を再現すればこうなるのでしょうが、この出来では原作再現という手段と面白い映画を作る目的が入れ違ってしまっています。
漫画の連載順にプロットを並べていくことの功罪の罪の部分がはっきり出てしまったなという感じを受けます。
ここは原作の時系列を捻じ曲げてでも、一本の映画としての起承転結は崩すべきではなかったのでは


アクションがだるい

これも個人的には原作を少し捻じ曲げてほしかった部分ですが(とはいえ原作はもっとましだった気がしますが)、スタンド同士の戦いという特性なのか、とにかくアクションに動きがありません
基本的に人物を均等に画面に配置してわさわさ動く→顔のアップになって大きな声で怒鳴るの繰り返しで、起きていることの荒唐無稽さからするとおとなしすぎる絵作り。
ジョジョの実写映画、と聞いて真っ先に期待したのがスタンドバトルなので、これは少し興ざめでしたね。

スタンドバトルと言えば、冒頭で触れた「原作の詰めの甘さ浮き彫り」問題がこの映画の出来の悪さから浮き上がってしまっています。
ネタバレになるので詳しくは伏せますが、端的に言えば最後の仗助vs某で、仗助側の勝利のロジックがひとっつも納得できないというとこです。
それは”治す”なのか?命令遂行は絶対というけどその割に暫くお前ら黙ってみてるだけだったな!など。
原作が勢いで押し切っていた部分を、映画ではその勢いを殺してしっかり見せてくれるので、翻って原作の評価が下がるという誰得状態。

所謂「邦画の悪癖」というべき、「アクション中に長話始める主人公とそれを黙って見てる敵」問題も今作は炸裂しています。久しぶりに見ました、こういうの。

ジョジョというスタイリッシュで時代の先端行ってた漫画がこういう陳腐な演出をもって実写で台無しにされるの、漫画と邦画の、というか荒木飛呂彦三池崇史の「差」を思いっきり見せつける結果にしかなってないです。

良かったところ

序盤は最高!

とはいえいい部分ももちろんあって、というか序盤15分くらいは「面白い!」と思いながら観てました。原作のラインから少し外れていて、三池節が全開でよかったです。

例えば冒頭のアンジェロが殺人現場である行動をとるシーンは音も相まって(いい意味で)生理的に受け付けない印象を強く与えていて、三池作品で言うと『オーディション』とか『インプリント』的なイヤさが最高ですし、
少しコミカル描写ではありますが、アガるBGMと肉体がぶつかり合う仗助と不良のシーンは『クローズZERO』的な見ごたえのあるアクションがこれから見られるんだ(*^○^*)というポジティブな印象を受けるものでした。


こんな感じかなと思ってました

序盤から受ける印象は「良い方の三池作品」であり、いつもの悪ふざけ含めてその路線で最後まで行ってくれればよかったのですが、それ以降は意外と真っ当な原作再現を試みていて、期待を裏切られた形になりました。残念です。

ロケ地選びの秀逸さ

本作は国内ではなく、スペインの「シッチェス」という都市でロケを行ったそうです。
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日本が舞台にもかかわらず、スペイン・シッチェスやバルセロナでの撮影を敢行したことでも話題を集めた今作。

公式サイト見る限り、三池監督は「自分の好きな街だから」と選んだ理由を語っているようですが、ロケ地を海外の古都に置いたこの判断が、少なくとも序盤から中盤にかけて非常にいい働きをしていると思います。
劇中で仗助が「変な髪型」揶揄いを受けるシーンが天丼でありますが(これ自体は寒いですが)、この作品の主要な登場人物はだいたい髪型がおかしいです。比較的まともな広瀬くんですら、オールバックの攻めた髪型をしています。

そんな俗世から浮いたキャラクター達を扱うわけですから、私たちが普段見ている日本の光景ではちょっと違和感が強すぎて、コスプレパーティーの感が強くなってしまいます。
ロケ地を海外にして、ガワだけ申し訳程度に日本風にしたことで、景色の違和感にキャラの違和感が紛れて、そのノイズを消したことは大成功だと思います。

ただ、それも終盤、屋内でのバトルオンリーになると意味がなくなってくるんですけどね…。つくづく虹村兄弟のパートが蛇足だなと思ってしまいます。

まとめ

原作付きの作品の成功/失敗って、作品の出来不出来以前に、原作ファンにどれだけ受け入れてもらえるかが重要なのだと思います。
本作は、ファンへの目くばせを重視して原作を愚直に忠実に再現しようと試みた結果、肝要な「映画としての出来」が許容範囲をはるかに下回ってしまった失敗作ではないでしょうか。

引き続き続編が作られるようですが、その際には「ジョジョを扱う」というおっかなびっくりな手つきを止めることが、何よりファンのための映画になるポイントな気がしています。

【映画感想】東京喰種トーキョーグール / 良くも(ちょっと)悪くも続編が観たい良作!




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通常2Dで観てきました、『東京喰種』。
面白かった!
原作を読んだことがなかったことと、昨日観たアレがあまりにガッカリなこともあって少し不安だったんですけど、観て良かった!大正解!
期待以上の出来でした。

劇場予告編の大泉洋と音楽に惹かれて観ることを決めたんですけど見どころが他にも十分にあって、少し長い上映時間も気にならない良作でした。
キャストがみんなバッチリはまってて、ストーリーもコンパクトに畳んで、CG含めたアクションの見せ場も文句なし。
個人的にラストの展開はうーん…って感じでしたが、粗のない出来上がりに本当に満足させられました。漫画実写化としては『アイアムアヒーロー』以来の傑作だと思います。どちらも大泉洋が出てて、必要なグロ描写から逃げない映画という共通点がありますね。
そういう意味(大泉洋)では鋼の錬金術師にも期待したいところです…。です…。

劇場の入りはほぼ満席。窪田正孝主演作品ということもあって女の子が多かったです。
ただ、そこそこゴアな映画なのでちょくちょく途中で席を後にする人がいたのはかわいそうでした。CMだと殆ど見せてなかったけど、結構グロイよねこれ。

開始前の予告編、ちょっと長すぎない?暗くなってから体感15分くらい予告が占めてた気がします。
それでも、黒沢清最新作の『散歩する侵略者』とか、吹替版の『スパイダーマンホームカミング』(藤原さんお帰り!)とか初めて見るものも多かったので、そんなに苦ではなかったですけど。


以下、要素別に感想を書いていきます。

「食べ物」と「モノ」の書き分けが徹底されてる

観ていて、まず驚いたのが食べ物を噛む咀嚼音で主人公のカネキの肉体に訪れる変化をしっかり表現しているところ。
冒頭、喫茶店で卵サンドを、パスタを食べる音を誇張して大きな音に編集しています。くちゃくちゃ、ぺちゃぺちゃ。
それはもちろんカネキのお行儀が悪いということではなく、これらが「食事」であること、目の前の卵サンドが「食べ物」であることを印象付けるための演出です。

カネキが喰種となり、「人間以外は食べることが出来ない(食べても吐いてしまう)」ようになると、今までの「食事」「食べ物」がただの「モノ」になります。
我々から見ると美味しそうなハンバーグも、喰種になったカネキが口に入れて聞こえる音は胃が逆流する音、唾液が過剰に分泌される音。
明らかに不味そう、というか食べてはいけないものを口に入れている音になっています。
他にも冷蔵庫の中身をカネキが文字通り漁って食べるシーンで食べ物がはっきり「汚物」として描かれたり、肉じゃがが食玩のような無機質なものに見えたり。
逆に、人肉を喰らうほかの喰種の口からは、冒頭でカネキが卵サンドを食べている時と同じ音がするのです。
ヒトから喰種に致命的な変身をしたカネキの異形感を、食べ物の描写の変化で表現しきったことは素直にスゴイと思いました。
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キャストすごい(すごい)

今作、主要キャストはみんな役にドはまりしていたように思います。

主役の窪田正孝はもちろん最高。
ヒトだった頃の童貞感、喰種になってからの狂気、すごく巧みに演じ分けていてさすがでした。
たぶん劇中では大学一年生だと思うんですが、28歳にしてあの年頃の男特有の透明感、頼りなさを醸し出せるのはなぜなんでしょう。尊いな…。
そしてアクションも『HiGH&LOW』組だ!と再確認させてくれるカッコよさ。
鈴木伸之さんとのタイマンはちょっとCGが悪さしたのでともかく、清水富美加さんとの訓練シーンは昨日観たアレよりはるか上を行ってます。
人間としての弱さと喰種の異形と超身体能力。
私は原作を読んだことないので分かりませんが、このカネキというキャラクターの二面性を扱うにはこの人しかいない、というべきハマりっぷりでした。

他にぐっと来た人を上げるなら、
蒼井優はちょっと怖すぎませんかねあの人。
waonカードのイメージしかなかったのでほわほわ優しい人だと思ってましたが、今後もし善良な役で出てきても絶対信用できません。
私の中ではアウトレイジ観た後の小日向文世みたいなポジションに収まりました。
清水富美加はこれが改名前最後の仕事なんですか?
どうしても暗くなりがちな作品全体の雰囲気の中で、彼女とカネキのやり取りは心温まりましたし、アクションも見ごたえあっていい女優さんだなと思いました。

大泉洋は「おかあさんだよ(ニッコリ)」が私的今作ナンバーワンのシーンで思わず声出して笑ってしまったのですが、相変わらず演技力光ってましたね。ブリーフケースをなでる手つき一発でマッドな変態感出しててすごいなって感じ。
そういえば始まる前、『探偵はBARにいる3』の予告編が流れた時、周りでフフッて笑い声がしてたんですけど、ああいう従来の大泉洋じゃない今回の役でもしっかり存在感示せるって、稀有な才能ですよね。
ハガレンでもマッドサイエンティスト役やるし、そっちでも期待したいですね。

鈴木伸之は「桐島のうざいバレー部」のイメージがまだ私の中にあるので、今回、前野智哉と「桐島バディ」を組んでくれてオッてなった。
高校時代にカースト上位だった奴が社会人としても優秀で、底辺だった奴がポンコツのままっていうリアルな感じがとても辛いとも思ったけど(関係ない)、それでも2人が一瞬でも分かりあうシーンがとても好きだったし、亜門は絶対に天そば食べに行ってあげてね(涙)。
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半分ヒト、半分喰種、だから…?

喰種はヒト以外食べることはできないから、元ヒトであるカネキは葛藤したりするわけですが、今作、その葛藤が特に解決されたり進展したりはしません。わめいてるだけです。

生きるためには他の生き物を食わないといけない、というのはもちろん喰種だけでなく私たちヒトにも同じことが言えて、ただ私たちの大半はその食うプロセスを見えない他者に委託することでその摂理から目を背けることが出来ています。
そうした欺瞞に浸かっていられる私たちに対し、この映画に出てくるカネキは誰かを殺して食わないと自分が死んでしまうという観たくない現実を突きつけられます。
作中でカネキは先輩喰種に「お前はヒトと喰種、両方の世界に生きる存在だ」と言われますが、これは喰種としてヒトを食べながら共存し現実との折り合いをつけることを選ぶか、それともヒトとして人を喰うことは出来ないという自我を曲げずに死ぬかという問いです。
その問いにどうカネキは答えるのか、というこの物語の根幹たるべきテーマは、私たちにも刺さるものです。
なぜなら私たちもまた、ほかの生き物を殺すという「罪」を犯さずして生きることは出来ないからです。
それ故に観客は興味を注いでこの物語のラストを注視するのだと思います。

ですが、この作品、「生きることと罪」を問うと大きく振りかぶって、その腕を上げたまま終わらせてしまった感じがあって、そこに物語として、カネキとしての結論を出しません。
例えば、ネタバレになるので詳細は伏せますが、物語中盤ではその葛藤の中で、カネキ的に「最もやったら後悔すること」をやりかける(未遂)シーンがあります。
ここで一度、「喰種になってしまった以上ヒトを食わなければ生きていけないのだ」という命題にカネキは直面しますが、しかし、カネキがそのことについて悩んだり成長したりする描写はありません。ただ、エピソードの一つとして消化しているだけになってしまっています。
けっきょく最後までカネキがヒトを喰らう描写はありませんでした。これは逃げだと思います。

この場面が象徴的ですが、せっかく難しいテーマを掲げているのですから「カネキくんこんなことになってかわいそー」から一歩進んで、現実と折り合いをつけるのか、自我に殉じるのか、テーマに対して何らかの答えがほしかったですね。
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終わりに

とはいえ、漫画実写化という一種のお祭りにそこまで大きな命題を負わせるのも無粋ですし、私は単純に適度なゴアと面白いストーリーにすっかり満足しています。
良い感じの世界観を原作から引き継ぐことに成功しているので、続編希望!です。喰うか喰わないか問題を決着付けてほしいのもありますし。

『東京喰種トーキョーグール』、良実写化として今年名前が残る一本じゃないでしょうか。
原作ファンにとってこの作品が喜びでありますように。

【映画感想】ザ・マミー/呪われた砂漠の王女 ハリウッドでもこんなん作っちゃうんだな




『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』、TOHOシネマズでIMAX3D字幕鑑賞してきました。
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鑑賞前

チケット予約してからふとrottentomatoesの評価が気になって見てみたんですが、
見ないほうが良かった…。
私が観た段階ではTOMATOMETER(評論家の肯定的なレビューの割合)は15%、AUDIENCE SCORE(一般の人の☆3.5以上レビューの割合)が40%。
ちょっとこの規模の大作で見たことない数字っていうか…、と思ったらトランスフォーマー最新作も同じくらいの数字でした。
なんかこう…ファイト!
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レビューの平均的な意見は「お約束的な面白さも、怪物映画らしいスリルもない。ダーク・ユニバースは早く見直したら良いと思う」。
「怒り」とか「嘆き」の前に「心配」が先立つってどんな映画なんですかね…。

チケット買ってしまったから観に行くけど滅茶苦茶心配です。でもけっこう席は埋まってるっぽいけどなー。

基本情報

監督:アレックス・カーツマン
脚本:ジョン・スペイツ クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ ソフィア・ブテラ アナベル・ウォーリス ジェイク・ジョンソン コートニー・B・ヴァンス ラッセル・クロウ
原案:カール・フロイント『ミイラ再生』
日本版公式HP:映画『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』公式サイト 大ヒット上映中!

監督のアレックス・カーツマン氏は近年だとリブートの『スター・トレック』2作とか『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の脚本やってた人。IMDb見る限りこれが映画監督2作目で、よくフックアップしたなという印象を受ける。MCUが意外な人材起用して大当たりしたのをダーク・ユニバースも参考にしているのかしら。

脚本の2人のうち最初にクレジットされてるジョン・スペイツは春にやってた『パッセンジャー』の人。『パッセンジャー』でBlack List(未制作だが優れた脚本が選定される)に選ばれたこともあって、実力は確か。クリストファー・マッカリーは「皆様ご存知」という感じ。『ユージュアル・サスペクツ』に『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』。
こうしてみると脚本は手堅く固めている。

トム・クルーズはさて置き、よみがえる王女の役にソフィア・ブテラ。『キングスマン』に出てたらしいけど観てないから初見。どうでもいいけど声優がベッキーって大丈夫か。
それよりラッセル・クロウの役名、ヘンリー・ジキル博士に驚いた!『ジキルとハイド』のジキル博士が出てくるとは。ダーク・ユニバースを繋ぐキャラになるのかな。

ところでベッキーという不確定要素を避けて字幕版を予約したものの、なんと字幕担当は戸田奈津子女史であった。
前門のベッキー後門の戸田、どう足掻いても絶望と言わざるを得ない。

鑑賞後

これは誰が得する映画なんだろうか。
ぜんぜん面白くなかった…。やっぱりrotentomatoesには勝てなかったよ…。
ビッグバジェットでIMAXでルックはすごい良かったけど、それ以外に何もない空虚な映画だった。
IMAXだからなあ…学生でも2000円超えてくるのにこの出来は…。

全体感想

まず、トム・クルーズ演じる主人公に何の魅力も感じない。
この人は日本におけるキムタクと同じで、あまりに有名で人気だからステレオタイプががっちり固まってしまていて「誰を演じてもトム」になりがちだけど、それでも近年のトム映画はそのステレオタイプを裏切ったり逆に誇張して弄ったりする工夫があって、それゆえに彼の演じるキャラクターは魅力的だったんだけど、今回のトムはステレオタイプとしての「トム・クルーズ」そのままだ。
「女好きで軽薄だけど決めるとこでは決める」という見慣れたキャラクターは2017年に改めてまみえるとすっごく陳腐でムカつくキャラだということが分かった。
勿体ないなあ…。

シナリオも見せ方も、制作陣の名前からすると期待外れもいいとこ。予告でかすかに感じたワクワクが全部裏切られた。
ピラミッド出てこねえしロンドンに女王の顔が浮かぶシーンは大したシーンじゃねえし登場人物みんな情緒不安定で言行不一致だし、どうやって物語にノレばいいんだと思ってたら2時間過ぎてしまった。
一応ホラーのくせに、怖さの表現が「突然動いてビックリさせる」「大きな声を出す」くらいしかなくて全然新鮮じゃないし吃驚しない。
超現実的なシーンは全てトムが観る幻影、妄想として処理されるので、お化け屋敷感というか、「後戻りできないヤバいところに来てしまった」感が無いのもマイナス。
ゴアもないし、もっとまじめに怖がらせてほしい。

この題材とスタッフで盛り上がらなくて、ダークユニバースを今後どうやって盛り上げていくつもりか訳が分からない。
てゆーか1つの映画として完成されてないのに次回作への含みをあちこちに忍ばせるの、本当にムカつくからやめたほうが良いと思う。

それからたぶんベッキー戸田問題は吹替のベッキーの方がベターな気がする。
エジプトの王女はだいたい古代エジプト語で喋るし普段から変なエフェクトが掛かってるので、誰が声優でも大崩れしない。
字幕はちょくちょく代名詞が怪しかったりして、登場人物の行動や関係が分かりにくくなっていたから、ベッキーよりよっぽど深刻だった。
とはいえ全体が大した話じゃないので、どっちを選んでも関係ないのも事実。

トムのアクションもっと見せろ

『ミッションインポッシブル』でも『アウトロー』でもいいんだけど、最近のトムの映画って、ノースタントかあるいはそれに準じる生身のアクションの豊富さにこそ魅力があると思ってる。
CG全盛の今、あえて生身の体、を前面に押し出すアクションに挑戦して、その挑戦自体にハラハラドキドキするというのがトム映画をトム映画らしく良いものにするための必要条件だと思っていたけれど、今作には残念ながらそれが殆どなかった。
こないだ『銀魂』で見たちょっと残念なアクションに似たシーンがあって、本当にこれが予算マックスなハリウッド映画なのか自身が持てなくなった。

冒頭のゲリラだかテロリストとの戦闘は、トムの見せ場がないままに爆撃機の絨毯爆撃で終了。
カーチェイスはカメラがごちゃごちゃ動いてよくわからないし、ラスボス的存在のエジプト王女との力関係が王女≫超えられない壁≫トムになっていて、そこのタイマンも全く面白くない。
ラストの方で、トムが女王に一矢報いるシーンはもう少し何とかならんかったのか。
「なぜ」「どうやって」トムがアレを盗むことが出来たか、序盤に伏線の張り様はいくらでもあったのに、そこの演出を怠ったからすごい唐突でご都合主義なシーンになってしまっているし、見せ場のつもりか無理やり盛り上げてきてほんと最悪。

相対的にアクションシーンよりも世界観の説明やキャラの紹介、人物ドラマ(笑)に枠が割かれてるので、そもそもこの映画がアクションを売りにしてないのかもしれないけど、それならトムのキャラは上述の通りあまりに工夫がない。
話の筋がたいして面白くないんだから、せめて圧倒するアクションで引っ張ってほしかった。

物語内ルールがよくわからない

映画はフィクションだからある意味何が起きても不思議はなくて、だからこそ作中でルールをしっかり定めておかないとリアリティがなくなって感情移入もハラハラもできなくなってしまう。
「コイツはこれが出来てこれが出来ない」、「この道具はこの為に使う」、「ここまでやられたら死ぬ」。
それがシーンによってご都合主義的にブレているので、物語に没頭しようとするとそのたびに冷や水をぶっかけられる。

例えば、これは私の読解力のなさかもしれないけど、セトの短刀というこの物語内で最大のキーアイテムの効果が二転三転していた気がする。
死を司る神たるセトから、アマネット女王が受け取った短刀で、これで人を刺すと①死ぬか②不死の力を得るという2通りの真逆の力があって、それが時と場合によって違うので、トムが刺されそうになったり刺されたりしても何が起こるかその次のシーンまでわからないのでハラハラできない。

あと、アマネット女王はそこまでいろいろできるなら捕まった時に反撃できたんじゃないかとか、いかに死霊とはいえ鎧着てたら泳げなくないとか、ラストでヒロインに起きたある事はどういう理屈なの?とか、いちいちツッコミどころが多くて、それを押しのけるだけの物語の面白さもない。

終わりに

終わった後、面白くなかったより先に、この映画は何だったんだという困惑が先に来てしまった。
何を思ってこれを、そしてダーク・ユニバースなるリブートシリーズを作ったのかもわからないし、この映画の伝えたかった面白さも分からない。
今のところ観る価値はゼロだったと思うけれど、もしかしたら今後このシリーズが爆発的に面白くなって、第1作である本作を観ておいてよかったと思うかもしれない。
あり得るかもしれない未来への投資という意味で、本作はおススメと言える。

かなり貶す文章を書いてしまって辛い
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